あー坊です。
読書メモ。
『ブリジット・バルドー自伝 イニシャルはBB』
ブリジット・バルドー 著
渡辺 隆司 訳
早川書房
50~60年代に活躍したフレンチ女優・ブリジット・バルドー。
彼女が生まれた時から女優を引退するまでの自伝。
語り口調の文章は読みやすく、
記憶力が良い人なのだろうか、幼少期の回想なども
「よく覚えているなぁ」と思うほど活き活きと書かれてある。
「昔の、フランスのブルジョワ家庭というのはこういう感じなのか」と
興味深くもあり、どんどん先へと読み進めてしまう。
大人になってから・・・映画界に入ってからの
彼女の話は、男性と仕事と動物、孤独への恐怖、情緒不安、ヒステリー発作・・・。
ややパターン化されており、読んでいてやや食傷気味に。
それでもやはり、ドラマチックではある。
個人的に、面白く読めたのは彼女が31~32歳の頃くらいまで。
色々なことを経験して、幾度となく最悪な思いをしながらも
どこか勢いがあり、小気味よいとすら思えた20代の話を読んだあとでは、
後半は、特に男性関係について情けない印象をもった。
ただ、家族や身内を大切に思う人だというのは分かるし、
行動的で、ある意味では逞しいと思える人柄は魅力。
この本の著者としての彼女はとても正直で、
変な計算や見栄、謙遜、体面を気にするような
せこせこした感じは一切なく、堂々としている。
正直も度が過ぎると愚かに思えてしまうけれど、
ひょっとしたら彼女は、それは分かった上なのか・・・と思った。
愚かに思われないように、自分の書きたいことを控えたり
変えたりするくらいなら、どう思われてもいいから書きたいことを書く、
そういうことなのかな~・・・というのが、読後に私が思ったこと。
これまで彼女の映画は見たことがなかったけれど、
自伝を読んで彼女のことをいくらか知った今、
初期のものから順に見てみたくなった。
特に50年代のブリジット・バルドーはメイクも控えめで、
純粋な「ルックスの良さ」が引き立ち
可愛い顔している人なんだな、というのが分かったので
是非とも映画で確かめたい。